俺は使用人、君は姫。
☆プロローグ
今日も、姫に連れられて、王宮を抜け出した。

わんぱく盛んな年頃なので、仕方がないのだが、


「姫、また母君に叱られるぞ。」


ちなみに、俺も叱られる。


「えー…だって、お城にいてもつまらないんだもん。」


はぁ…このやり取りを何回したことか。


「それはそうだが…急に城から姫が居なくなると、母君も心配するだろう?だから、今日はもう戻ったほうが…」


「やだ。」


……。


「…仕方ないな。もう俺は怒られても知らないぞ。」


どうせこの先口論したところで、俺は勝てない。


「いいよ、怒られても。紅羽が一緒にいてくれれば、私はいーの」


俺の歳(14)からして、姫(8)は、幼い。

あぁ、幼いとも。

だから、深い考えなんてそうそうないだろうが、すんなりとそんな言葉を口にしないでほしい。

間に受けてしまうから。


(てか、何、姫相手にドキドキしてんだ、俺)


「紅羽ー、くーれーはー。」


「…!姫?どうした?」


「見てあれ。お花が、沢山咲いてて綺麗だよ」


姫が指をさした先には、満開の花が咲き乱れる丘があった。


「あそこに、行きたいのか?」


無言で頷く姫。

まぁ、いつもと同じような散歩だけじゃ物足りないだろう。


「それじゃあ、行くか。」


「うんっ。」


嬉しそうに姫の返事が返ってきた。
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