俺は使用人、君は姫。
後ろで、王室の扉が開く音がした。
その後、駆けてくる懐かしい足音がした。
「待ってっ。」
懐かしい声。
「ねぇ、待ってってば!…紅羽っ。」
俺は、振り向いた。
振り向いた先には、懐かしい姫の姿。
「やっと止まってくれた…ってきゃぁっ!」
俺まであと僅か、というところで姫がドレスの裾を踏んだ。
バランスを崩し、前に倒れるその体を軽く抱きしめるようなかたちで、自分のもとに引き寄せた。
「姫…走ると危ないと、昔よく言ったはずだが?俺のことなんて、忘れてしまったか?」
「そんなことないよっ。でも…急がないと、紅羽に追いつけなかったから。…ごめんなさい。それと、ありがとう。」
自分を見上げ、話す姫の姿が愛おしい。
このまま力強く抱きしめてしまいたい。
「姫…。」
「紅羽?」
あぁ、その名をその声でもっともっと呼んでほしい。
「いや、なんでもない。また、後でな。もう、転ぶなよ。」
「え、うん。待ってるからね。」
笑顔で見送る姫に、笑顔で返して、俺はある人物の元へ向かった。
その後、駆けてくる懐かしい足音がした。
「待ってっ。」
懐かしい声。
「ねぇ、待ってってば!…紅羽っ。」
俺は、振り向いた。
振り向いた先には、懐かしい姫の姿。
「やっと止まってくれた…ってきゃぁっ!」
俺まであと僅か、というところで姫がドレスの裾を踏んだ。
バランスを崩し、前に倒れるその体を軽く抱きしめるようなかたちで、自分のもとに引き寄せた。
「姫…走ると危ないと、昔よく言ったはずだが?俺のことなんて、忘れてしまったか?」
「そんなことないよっ。でも…急がないと、紅羽に追いつけなかったから。…ごめんなさい。それと、ありがとう。」
自分を見上げ、話す姫の姿が愛おしい。
このまま力強く抱きしめてしまいたい。
「姫…。」
「紅羽?」
あぁ、その名をその声でもっともっと呼んでほしい。
「いや、なんでもない。また、後でな。もう、転ぶなよ。」
「え、うん。待ってるからね。」
笑顔で見送る姫に、笑顔で返して、俺はある人物の元へ向かった。