break down
「…もう、終わりかも」
ぽつり、零した言葉に隣に座る先輩が反応するのがわかった。上からの視線には応えず、半分ほど飲んだピーチサワーをじっと見ながら続ける。
「クリスマス、ほんとは会う予定だったんです」
この日は会おうと約束した。
でも会えなかった。やっぱり。
「もともと、優介と私の恋愛の価値観が違うんです。優介は彼女にしばらく会わなくても平気だし、他の男と会ってても気にしないし。…好かれてないわけじゃないんです。むしろ信頼してくれてる」
でも。
「私は、いつだって会いたいと思ってるのに。それって欲張りなんですかね…」
私のいちばんは優介だけど、優介のいちばんは私じゃない。
「そう思ってしまうと、ときどき、どうしようもなく寂しいんです」
ゆゆ。
――――先輩が私の名前を呼んだと思ったら、キスをされていた。ぱっと顔を上げると、すっと目を細めた先輩と目が合う。感情の読めない瞳。
「どうしたい?」
「え…?」
「寂しいなら、慰めてあげるけど」
どうする? その言葉に、ゆらりと、瞳が揺らぐ。先輩はそれを見逃さずに「決まり?」と薄く笑って、再度私にキスをした。
彼との恋を壊したのは、私?