break down


「…もう、終わりかも」

ぽつり、零した言葉に隣に座る先輩が反応するのがわかった。上からの視線には応えず、半分ほど飲んだピーチサワーをじっと見ながら続ける。

「クリスマス、ほんとは会う予定だったんです」

この日は会おうと約束した。
でも会えなかった。やっぱり。

「もともと、優介と私の恋愛の価値観が違うんです。優介は彼女にしばらく会わなくても平気だし、他の男と会ってても気にしないし。…好かれてないわけじゃないんです。むしろ信頼してくれてる」

でも。

「私は、いつだって会いたいと思ってるのに。それって欲張りなんですかね…」

私のいちばんは優介だけど、優介のいちばんは私じゃない。

「そう思ってしまうと、ときどき、どうしようもなく寂しいんです」



ゆゆ。

――――先輩が私の名前を呼んだと思ったら、キスをされていた。ぱっと顔を上げると、すっと目を細めた先輩と目が合う。感情の読めない瞳。

「どうしたい?」
「え…?」
「寂しいなら、慰めてあげるけど」

どうする? その言葉に、ゆらりと、瞳が揺らぐ。先輩はそれを見逃さずに「決まり?」と薄く笑って、再度私にキスをした。



彼との恋を壊したのは、私?




< 2 / 2 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

こっちにおいで
藤咲心/著

総文字数/1,000

恋愛(その他)2ページ

表紙を見る
i
i
藤咲心/著

総文字数/989

恋愛(その他)2ページ

表紙を見る
orange
藤咲心/著

総文字数/997

恋愛(純愛)2ページ

表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop