HELLO,goodbye.
私が知っているその男は
圧倒的に美しく、威圧的。
漆黒の髪は私と同じだった。
無愛想で不器用。
でも、生意気に笑むそれは危険なほど魅惑的に人を惹き付ける。
口数は極端に少ない。それでも、いつも私が求める一言だけを淡々と言い放った。
誰よりも強く、横暴。だけど
どこまでも透明で 魅力的。
『純(ジュン)、お前はそのままでいいから』
男はいつか、私にそう言った。
私は男を睨み返す。
『大人しく守られてろって意味?』
『あぁ。俺にな』
そう言って私の胸元まである髪を掬い上げて弄ぶ、その長い指が気に入らない。
『アンタに私が守れるとでも?』
所詮、私の精一杯の抵抗なんて時間の無駄だ。
愉快そうに微笑む極上の瞬間。
『お前を守れんのは俺だけだろ』
その瞳に捕らえられたなら
敵うはずがないんだから。