草食系男子の裏の顔

「次からは気をつけて、危ないから」


「ぶつかってごめんね」


「俺は平気だから、じゃあね」


「じゃあねって授業そろそろ始まるよ?」


「具合悪いから保健室行くだけ」


「そうなんだ、お大事に」


「ありがと」


黒瀬くんってこんなに喋る人だったんだ。


なんだかちょっとだけ彼に近づけた気がして嬉しい。


でも黒瀬くんの気をつけてはぶつかったときの


気をつけてじゃないことを後で知る事になる。


私はトイレで悪口を言ってた人たちより


黒瀬くんと喋れたことのほうが嬉しくて


怒りから嬉しいに変わっていって


上機嫌で教室に入った。


「真里~」


「遅いから心配してたんだけど」


「ごめんね、トイレ行ってたら黒瀬くんとぶつかちゃって」


「やったじゃん、どうだった?」


「うん以外にも喋ったし、声が萌えるの」


「良かったねぇ」


「今日は最高の日だわ」


でもこの最高の日が後で絶望の日に変わるなんて思いもしなかった。
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