ストーカー風紀委員と可哀想な不良
ストーカーな風紀委員と可哀想な不良
「おい鳥居(トリイ)、そろそろ見回り来るんじゃね?」

昼休みの非常階段、いつものメンツで食後の一服やってると、時計を見て一人が言った

「・・・あー、だな。場所変えるか、見つかったらまたウゼェし、って!ぅわ!!」

缶の中にタバコを落とし込んで立ち上がった俺は、視界がグルンと回って叫んだ



「あー・・・遅かったな。来たみてぇだぞ、見回り」


ヒゲにピアスのツレが気の毒そうに笑って言う

―――いや!笑い事じゃねぇ!!!

腹を抱えられて二つ折りにされてるらしい今の状況じゃ、俺をそうしてる奴の顔なんか見えない
見えなくたってわかる!こんなフザケた事する奴は一人しか居ねぇ・・・!

「沢井(サワイ)テメェ!!!降ろせコラ―――!!!!!!」

「うっせぇですよ、ピィちゃん先輩。タバコなんか吸ってるからチビのまんまなんですよ」

―――敬語なのかソレ!!!!!!!

「沢井~手加減してやれよー」
「キミのお陰で俺ら停学も退学も喰らわねーで大助かりよ」

ご苦労さん、と
ツレがツレとは思えねぇ事を言って俺は売られようとしている


「まぁ、先輩たちの為では微塵も無いですが結果として俺の見回りが役に立ってるのは事実ですね。んじゃコレいただいていきますんで」

「へいへい、好きにしろー」

――「コレ」って、おまえ今俺のこと「コレ」呼ばわりしたか?!

「ぶっ殺すぞアホ沢井―――!!!!」

そう、見回りってのは教師なんかじゃない
いやもう、いっそ教師だったらどんなにいいだろう?!


風紀委員のクソ一年・沢井が自ら買って出た「サボリ・喫煙者取り締まりの校内見回り」のお陰で最近教師がサボって職員室から出ず、俺のツレ周りからは評判のいい沢井

―――ピィちゃん先輩だけ渡してくれたらタバコもサボリも校内セックスも摘発対象から外してあげます


そんな条件に飛びつきやがってホントにトモダチかおまえら―――!!!!
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