ストーカー風紀委員と可哀想な不良
いやいやいや
別に俺がここで言い訳しなきゃいけないって道理は一切ねぇよ

だから、まんま事実を言う

「昨日泊まりだったからその子んちでシャワー借りたからいつもと違うシャンプーつかって、家帰って着替える時間なかったから服はそのまま。オッケ?わかったら離せホモ野郎」


いい加減暑ぐるしいよ
季節わかってんのかコイツ
夏よ?真夏よ?
女の子ならまだしも男にこんな密着されちゃ暑いよーなサムイよーな、だ

――だがしかし。

沢井は離れるどころか、事もあろうに俺を軽々しく抱えあげて会議机に座らせた

これには俺もカッチーン!だ!!

「おっまえなぁ!いくら体デカいからって、んな軽々しく持ち上げられる俺のプライドってもんは考えらんねぇのか!!」

「ヤったんですか?」

「あぁ?」

相変わらず俺の言うことを全く無視する沢井に、眉をひそめる

「ヤったんですか?って聞いてんですよ、その女と」

・・・は~ぁ

「俺、不能じゃないしおまえと違ってホモでもないからそりゃヤらないでどーするよ」

判りきったこと訊くな、とばかりに言ってやった

「ふぅん?そーですか。ピィちゃん先輩モテそーですもんねぇ」

――オイ。なんだそのチクリチクリ責めるような言い方は

おーそうだよ
モテるよ そこそこ。男も可愛いブームだからな
ツルんでる奴らは見た目も大概ヤンキーだけど俺は素行が悪い割にゃ見た目いたって普通
こんな身長と童顔でチャラい格好してる方が余計ガキに見えんの知ってる


―――そんな話はどうでもいい

今問題なのは昨日ヤったとかヤらないとか、俺がモテるとか童顔だとか(いやコレは沢井は何も言ってねぇか)じゃなくて、毎日つきまとってウザいこの一年の存在だ

「何かってーと俺のことつけまわしてっけど、おまえマジで男が好きなのか?」

机に腰掛けさせられたまま、ポケットから煙草を取り出したところを沢井に没収された

「イエ別に?――だから煙草はダメだっつってんじゃねーですか。今まで俺に没収された回数から言ってとっくに退学処分ですよ」

ちっ・・・、メンドくせー奴!!
ていうか無理矢理敬語にしてっけどいっそのことタメ口の方がイヤミ無いだろコイツの場合
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