ストーカー風紀委員と可哀想な不良
煙草も取られて手ぶらな俺の腕を沢井が掴む

「んだよ。もーナンも持ってねぇぞ」

「知ってますよ。素行悪いっつってもピィちゃん先輩煙草ぐらいでしょ。クスリもやんなきゃゴムもつけないからあと没収するモン無いですねー」

――わかってんなら俺ばっか目ぇつけて拉致んのヤメロよ風紀委員

俺の腕を掴むデカい手に力が入って骨がしきむ程に握り込まれる

「いてぇっ・・・!イテテテ!こら!バカ!イテェよっ」

「ほっそ。折れそーですねー俺の指なんか軽く一周して余るし」

「そりゃオマエの手がデカいんだ!!」

沢井の腹を蹴って、ようやく腕から手が離れた

うーわー!!手首に手形!!赤っ!

「手加減しろやボケ!!クソガキ!!ホモ!!!」

げほっ、と腹を押さえて咳込んだあと、沢井がニヤっとする

き――も――い―――!!!!!!!

ストーカー癖さえ知らなきゃインテリでスポーツもできるイイ男部門上位のはずが、決定的な落とし穴を知ってるだけにキモイ!!

ぞわぞわした感覚が背中から頭に突き抜けてトリハダがたつ

「ピィちゃん先輩、それ呪いだから」

沢井が「それ」、と赤く手形ついた腕を差して爽やかに笑う

言葉と表情が合ってないにも程がある

「笑えねぇ!!!ナンの呪いだよ?!」

「キスマークみたいなもんですよ」

キスマークは呪いじゃねえだろ!!

つぅか俺とんでもない奴に拉致られてんだけど!

「ま、そのうち本物のキスマークつけますけどね」

「・・・ありえねーから。妄想でとどめとけ」

もーこれ以上変態に付き合ってられるか








下手すりゃのしかかって来そうなデカい体を押し退けると机から降りて、生徒会室を出た

沢井も追いかけては来ないのを確認してホッと胸を撫でおろした















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