ブルームーン【タブー】
「なんで、『できない相談』なんだよ。俺、まだ何も言ってないし」

 それは、私が飲んでいたカクテル、ブルー・ムーンに隠された意味の一つ。でも、そんなこと思って飲んでたんじゃないよ。

「何を言う気だったの?」

 首を傾げる私に、とても切なげに朋樹が囁く。

「お前がアイツと付き合うなんて――夢にも思わなかった。
 俺のこと好きなんじゃないの?」

 相変わらずの不遜な態度。腹が立つけど――。

「だって、朋、彼女作ったじゃない」

「とっくに別れた」

 その顔は、まるで拗ねた子供。

「なんで今更そんなこと――」

 言葉は突然のキスで遮られた。無理矢理絡められた舌からは、ブルームーンの味。



「本気だから」

 真剣に見つめてくる朋樹に、なんて言ったらいいのかわからない。確かに長い間朋樹のことが好きだったけど、もう、翔と付き合っちゃったし。


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