この世の全てが敵だとしても
Ⅰ
「ねー。」
目の前で肘をついている私の友達、福永久実、は、面倒そうな声と瞳で私を呼ぶ。
「なーにー?」
語尾を伸ばしてゆるゆると、あたしも面倒そうな声と瞳で返事を返す。
「マジ、暇すぎる。」
そう言った久実は、1つ
大きなあくびをした。
口内丸見えだし。
瞳から溢れた生理的な涙を軽く拭って、ボーッとしている久実を見ながら、私は口を開いた。