この世の全てが敵だとしても
その言葉を合図にして、教室の時間が一瞬止まったような感覚に陥る。
だけど、そんなものは一瞬で、
徐々に、どういうことだ?という疑問の声がオズオズとあがってきた。
その声はだんだん大きくなっていく。
少しの騒がしさが、1分も立たないうちに、大きなざわめきにになった。
「貴様っ。」
そのざわめきの張本人、中西は、目をこれでもかと言うほど釣り上げて、憎しみのこもった顔で強く深く久実を睨みつける。
眉間にはいつもの倍以上ものしわの数。
どうやら、本気で怒らせたようだ。