この世の全てが敵だとしても
Ⅱ
「ね、超絶ヒマ。」
いつか見たような面倒そうな声音と瞳で私を見てくる久実。
「中西の時みたいな情報
もうないの?」
まるで欲しい玩具を買ってもらえないような顔をしている。
「んー、
もうないかなー。」
一応考える素振りしてからそう返事をした。
ちぇっ、とつまらなさそうにしている久実を尻目に、実はまだまだたくさんあるけどね、と心の中で本当のことを言う。
こんな学校、わざわざ探すまでもないほどに噂で溢れかえっているのだから。
私は少しだけ人脈があったり、相談を受けるので、そういった噂話が耳に直ぐに入ってくる。
その中から、バラしても大丈夫であろう噂などを久実に少しだけ、ほんの少しだけ教えているだけだ。