ピエロ-私と中年男の記録-
久々
久々のピエロ。

変わりない。

相変わらずの、昔っぽさ。

ドアを開けるとママ。

派手なドレス。

パーマが一段と大きくなっている。

「まぁ。久しぶりの三人。ジュース出すけん座り。」

ママはいつもにこにこ。


店内も変わりない。

古い、よくわからないゲーム機がテーブル変わり。


私達はカウンターに座った。
足の長い椅子は私と妹のテンションを上げる。


ママと母は近況を言い合っている。


私は小指のおっちゃんを探した。


いつもの席…


来ていない。
良かった。



…私、今、ホッとした。


そんなに嫌になっていたんか私。
よく考えたら、鼻毛出てる人やし。背低いし。
父さんがだいぶカッコイイわ。


私はイライラを抑えようと、ジュースを凄い勢いで飲み干した。



「気持ち良い飲みっぷりやなぁ。」


後ろから声が聞こえた。

「もう。姉ちゃん、恥ずかしいなぁ。」

隣で母が笑って言った。

振り返ると一筋の煙草の煙。

だいぶ前に会った、背の高い、良いニオイのおじさんだった。
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