ピエロ-私と中年男の記録-
病院
しばらくして、母と二人で病院へ行った。


新聞のおっちゃんは、きっと仕事に行ったんだ。


あれから話してないし、母にも聞いていないから、わからないが。




先生に

「火傷は、塗り薬より、冷やすのが一番なんですよ。」

と、母が言われていた。

母は元気がない。


ベッドにうつ伏せにねて、薬を塗られ始めた。


凄く痛くて、じっとしていられなかった。

でも、痛いって、言いたくなくて。


「こそばい。」(くすぐったい)


と、足をバダバタさせた。

母は

「そうか。姉ちゃん、こそばいんか。」


と、ホッとしたように少し笑った。
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