残酷Emperor
「……桐、島さん……」
振り返ると、笑顔の彼女が立っていた。
私達と彼女の距離は僅か……2、3メートル。
(何時の間に……)
「桐嶋……ッ!」
健二は敵対心丸出しで彼女を睨み付けている。
一方、桐嶋さんは表情一つ変えず、にこやかに微笑んでいる。
ぞわっ
何かこの子……怖い……。
「所でお二人共……、昨日はどうも」
桐嶋さんは口の端を上げた。
目力ハンパない!美少女の目力って凶器いいいぃ!
てかさ、完璧、怒ってらっしゃるよね?
「あ? 何だよお前。昨日俺はテメエなんかとーー」
「ふははははぁいっ! 」
健二〜〜!
もうダメだ。こいつだめだ。
桐嶋さん今完璧怒ってる!怒ってるからあ〜もうっ!!
「あ? お前何返事なんかして……
桐嶋さんはサラッサラの髪を片手で靡かせる。
その美少女的行為が私をドキドキさせたのは言うまでもない。
ってか間近で今まで見た事なかったけど……肌めっちゃ綺麗! どんなケアしたらそうなるの!?
……ほんと、お人形さんみたい。
と、私が見惚れていると、彼女の眉間には皺が寄った。
「それ、女が私を“見る目”、なの?」
ボソッと呟いた彼女の低い声に、聞き間違いかと疑ってしまう。
「は? お前自意識過剰なんじゃねーの ?」
健二がハハッと勝ち誇ったように笑う。
……最悪だ。き、気まずい。
「あなたに訊いてないわ、あなたみたいな人種、私大嫌いなの。悔しかったら私に次のテストで一教科でも勝ちなさいよ、フンッ」
「な! て、テメエ!!!」
桐嶋さんはそう言い捨てるとスタスタと先を歩いて行ってしまった。
(健二、可哀想だけど桐嶋さんの言ってることは正論だよ、健二)
「チッあのアマ、気に入らねえ!」
健二、口悪いよ。