空色のテロリスト

「聞こえなきゃ
返事って言わないの。」

おかしいでしょ。
相当な声量で叫んだけど。
耳が悪いんじゃないの?

そもそも対角にある
キッチンとわたしの部屋とで
会話ができると
思っているほうがおかしい。

「ほら、自分の飲み物くらい
用意してよ。
何にも手伝わないんだから。」

今コップ出してるの誰よ?
その言葉をぐっとこらえる。

「お母さんはいる?」

「入れといて。」


こんな調子だから
家に帰るのは憂鬱で。

「まったく学校は
  たいしたことをしてくれる
  わけでもないのに
  拘束時間ばっかり長くて
  しょうもないわね。
  今何時?」

「12時10分。」

チャーハンを食べながらも
がみがみ言い続ける母。

「もうそんなの?
  これじゃ全然練習して
  いけないないわね。」

本当は11時半には
帰れたっていうのは
内緒のお話。

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