先生達とルームシェア!?
「これ…もしかして持ってこようとしてくれたん?」
「う、うん…そう…です」
「わぁーありがとうな!俺も今これ探しに行こう思ててん。よかった…大事なもんやからさー」
あたしから指輪を受けとると、嬉しそうな顔をして笑った。
そして、またサイズの合わない小指にその指輪はめた。
「サイズ、少し大きいね」
「これ、形見やねん、母親の」
「形見?」
駅まで送るよ、と歩き始める彼。
道もわからないし、素直に送ってもらうことに。
「母親病気で死んだんやけど、いっつもこの指輪だけ大事そうに持っててさ」
「そうなんだ…」
「聞くとおとんとのペアかなんかでな、でもおとんアホやからおかんのサイズ間違えとんねん、だからおかん親指につけたりしてて」
アホやろ?と笑う彼。
そんな彼は少し懐かしむような目をする。
「でも男にしたら小指以外はちょっと入りづらいねんな、これが」
「だから小指につけてるんだ?」
「そうそう」
彼は、また落としそう…と言うと、小指から外してポケットにしまった。