ふしだらな誘惑
とはいうものの。玄関に入った瞬間おもいっきり躊躇してしまったあたし。
だって、あたしには彼氏がいる。
遠距離になって1年。最近かなり微妙だけれど、
近頃じゃろくに電話さえしてない状況だけれど
でも、それでも…
「あの、あたしやっぱり――」
「電話鳴ってる。ひょっとして君のじゃないか?」
「えっ」
そう言われ、あたしはハッとして課長から視線をそらす。
そしてバックの中から携帯を取り出すと――
えっ?
それは恋人の誠からのメールだった。
何ていうタイミング…
戸惑いながらもとりあえずメールの内容の確認をすると
ガシャン…!
手から力が抜け、思わず携帯を落としてしまった。