極上お姫様生活―番外編―
あたしが笑顔を向けると遥登君はホッと表情を和らげ、良かったと息を吐いた。
「喜んでくれて俺も嬉しい」
遥登君はぬいぐるみの頭をふわり撫でてあたしへと視線を移す。
「……っ」
愛おしそうに見つめられて、つい固まってしまう。
「俺、蒼空が大好きで大好きで仕方ないんだ。お前が誰の物になったとしても構わない」
「遥登君……」
少しだけ冷たい風が吹いて髪を乱していく。その隙間から見た彼の瞳がとても真っ直ぐで。
「だからこれからも、好きでいさせてくれ。……な?」
ふっと笑みを零して今度はあたしの頭を撫でる彼にドキドキしながら、あたしはコクコクと頷くことしかできなかった。
ありがとう、遥登君。
「よっしゃ!!じゃあ早く帰ろう、蒼空っ」
拳を握ってガッツポーズをした遥登君はあたしの手を掴んで走り出す。あたしも嬉しそうに笑う遥登君に笑顔を返した。
貰った大切なぬいぐるみを落とさないようにしっかり握り締めて―――。
Fin.