秘密の恋
抱いて・・・心まで
性急な動きに合わせ甘い息を吐き、苦しげに身をよじる。
執拗な手を退けるために、半開きの唇で 「早く……」 とねだると、
私を満足させたと勘違いした男が、最後の坂を駆け上った。
力尽きた体がごろりと横たわり、男が良かったかと私に聞いてきた。
えぇ……と、満更でもない声を作り返事をした。
いつもの手順、慣れすぎた行為、本当は飽き飽きしていた。
主演の私と相手役男優Yの交際は、映画のもっとも効果的な宣伝になる。
公私ともに、私たちは恋人でなければならない。
これで評判になるのなら、満足したふりの演技などなんでもない。