青空、ハレの日☆年中ハレバレ
 いや、今の赤坂さんは酔っ払って手元がおぼつかないので、折角のお酒を溢してしまうかもしれませんし、そのスーツも濡らしてしまうかもしれないので止めておいた方がよろしいですよ?

「うるせ……ぇよ!」

 赤坂さんを乱暴に放り投げたかと思うと、男の方がいきなり顔面を殴ってきました。
 僕はテーブルに倒れてしまいましたが、とりあえず赤坂さんが離れてよかったです。

 他にお客さんがいないのも幸いしました。お三方は平和的なまだ寝息をたててらっしゃるので、起こさないようにしましょう。

「へへ、俺はな。学生時代、ボクサー志望だったのよ」

 道理で。中々の威力でしたよ。

「緋上さん!」

 あ、赤坂さん。そんなに不安な声を出さないでください。どうぞ、ご心配なく。

 これでも僕は───

「おっと、姉ちゃんはこっちな!」

 再び赤坂さんに迫る男の方の腕を僕が止めます。

 あぁ〜、そんなに睨まないでくださいよ。こっちは争うつもりは毛頭ないのですから。

「てんめぇ!」

 わ、死角からの左手フックですか。見事なものです。避けてなければ少し頭が痛かったでしょうね。

 おっと、お次は右ストレートですか。中々に重そうですが、足がどうにもおぼついていないですよ。だから簡単に避けれました。

「はぁはぁ、ちくしょ……」

 もう息切れとは、運動不足というものですか?
 サラリーマンは大変ですね。

「この辺にしてそろそろ終わりにしませんか?お互い折角、楽しく飲んでいたのですから」

「うるせぇよ!!」

 飛び掛かってきた男の方を余裕をもって避けると、後ろにいるお仲間逹を巻き込んで派手に転倒してしまいました。

 えっと、大丈夫ですか?

「くっそ……てめっ!」

 頭をブンブン振って、ボクサー志望だった男の方だけが立ち上がります。他の二人は気を失っているようですね。


 タッタッタッ……


 あ、階段を昇ってくる音が聞こえてきます。おそらく店員さんでしょう。
 まぁ、これだけ騒ぎを起こしていれば時間の問題でしたね。
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