青空、ハレの日☆年中ハレバレ
 仙太の絶叫が家中に響き渡った。いくら自宅とはいえ、近所迷惑には考慮してもらいところだが、生憎とそれを注意する彼の母親は現在、日曜出勤中だ。

 しかし、不意にそれを注意する声がその場へ届く。

 窓の外から。

「ダメよぉ、せっちゃん。そんな大声出しちゃ」

 腰まで伸びた長い金髪を風に靡かせながら、空飛ぶ箒に乗って彼女はやって来た。

 セレビア=J=ダルク。

 眼鏡の奥に潜む妖艶な瞳は、空兎と仙太の珍妙なやり取りを興味津々といった感じで眺めている。

 その瞳に凝視されていた二人の視線がゆっくりとその魔法使いへと移る。

「わ、セレビアさん!」

「って、どこから来てるんですか!」

 空兎は突然の来客に喜ぶが、仙太は近所の視線に晒されてないかとつい慌ててしまう。

 各々の反応の違いに、セレビアはまたクスリと笑った。

「大丈夫よ。人目に触れるなんてヘマはしないわ。それより、なにを揉めているのかしら?」

 窓を開けて堂々と入るセレビア。律儀にも靴は脱いでいるところは、いつぞやの天使が同じ窓から入ってきたとは違うなと仙太は密かに思った。

 だが、空兎はそんなことは気にせずセレビアが質問してくるや否や、抱き縋っていった。

「セレビアさ~~~ん! ヘルプ・ミーーーー!!」

 と、それから経緯を半泣きになりながらセレビアに話すと、彼女は「ふ~ん」と目を細めた。

 そして、ポンッと何か閃いて掌に拳を乗せる。

「それならカンニングしちゃえば?」

「おぉ!」

「「おぉ!」じゃない!」

 目から鱗が落ちたという顔になった空兎に、すかさずツッコミを入れる仙太。

 そんなことをすれば補習ですむはずがない。
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