青空、ハレの日☆年中ハレバレ
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「フッフッフ、見つけたよ秋刀魚! アタシの未来のための生け贄になりなさい!」

 冷凍庫で目的のものを見つけた空兎が不気味に笑う。

 すでに息絶えているから“生け贄”ではないだろうというツッコミを入れてくれる仙太はこの一階の台所にはいない。

「さ、始めましょう」

「うん!」

 空兎はその秋刀魚と、セレビアに「何か混ぜるものを用意して」と言われ、棚からミキサーを取り出して、それらをテーブルに並べた。

「まずこの秋刀魚をまるまるミキサーに入れてっと」

 セレビアが凍った一匹の秋刀魚がミキサーに投入する。その横で空兎が秋刀魚を弔うように十字を切った。

「次に・・・・・・この秘薬を入れてっと」

 小瓶の蓋を開けて怪しげな透明の液体をミキサーに注入する。蜂蜜のような粘度のあるものだ。空兎が思わずその匂いをかいでみるが無臭だった。

「次に・・・・・・・う~ん、本来ならマンドラゴラとトカゲの尻尾と蛙の目玉がいるんだけど・・・・・・」

「え~~~~」

 ここまできて肝心の材料不足という危機に陥り、空兎の中で希望の光が消えたかに思えた。

 だが、セレビアは不敵な笑みを零して告げる。

「大丈夫よ。ごぼうあるかしら? マンドラゴラはそれで代用しましょう。トカゲの尻尾は・・・・・・なんとなくコンニャクで代用できる気がするわ」

「蛙の目玉は?」

「すでに魚に目玉があるでしょ?」

「おぉ!」

 再び希望の光が灯ったことに喜ぶ空兎はさっそく冷蔵庫からこぼうとコンニャクをとりだしてミキサーに放った。

 そして、蛙の目玉にも代用される秋刀魚に向けて「南無~」と手を合わせる。

「それじゃ混ぜるわよ」

 セレビアがミキサーのスイッチを押す。
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