青空、ハレの日☆年中ハレバレ
「なに? どうしたの!?」

 空兎の悲鳴を聞いた仙太が二階から降りて、台所にやってきた。そして、テーブルにグッタリと突っ伏している空兎を見て、ギョッと驚く。

「な、何があったんですか?」

 仙太は恐る恐るセレビアに尋ねるが、彼女は仙太に目を合わそうとせず、空兎の肩に手を置いて目を伏せている。まるで、無残に散っていった戦友を称えているようだ。

 そして、嘆くように告げる。

「せっちゃん、勇気をもって未知なるものに挑戦した彼女に言葉は不要なのよ」

「未知なるものって・・・・・・」

 なんとなく空兎が手にしているコップの中身の赤紫色の液体を見て、大方想像ついたが、あえて訊く気にはなれなかった。

「あ、急用思い出したわ。それじゃ、せっちゃん、あとヨロシクね」

 そう言ってセレビアは逃げるように玄関へと向かっていき、そのまま去っていった。

「・・・・・・悪魔だ」

 丸投げセレビアを仙太は率直にそう思った。ちなみに仙太がそう呟いた時、どこかでどこからどう見ても悪魔に見えない悪魔の女の子が「くしゅん」と一つくしゃみをしたが、この物語には関係ない。

 ともかく仙太は倒れて何やらうわ言で「赤紫色の悪魔が三倍のスピードで迫ってくるぅ~~」と訳のわからないことを言っている空兎を小一時間かけて目覚めさせた。
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