青空、ハレの日☆年中ハレバレ
「ご、ごめんなさい!」

 顔を真っ赤にして僕に叫ぶ。あまりの大音量に仙太くんは耳を塞いだが、僕はしっかりと受け止めた。

 頭は下げないで、両手は左右に開いて斜めに下げた不器用な格好だけど、空兎ちゃんらしい全力で目一杯想いのこもったお詫び。

 届きましたよ。


「いえいえ、気にしないでください」

 本心から笑って見せると、空兎ちゃんはやっと笑顔になってくれた。
 やっぱり空兎ちゃんはこの顔が一番ですね。

「ところで緋上さん。一人なんですか?」

「はい、残業があるので」

 そう言って僕が山積みになっている食器類を二人に見せると、二人とも絶句しています。
 まぁ、当然といえば当然の反応ですね。

 経緯を尋ねてきた仙太くんに僕が筋道を立てて話すと、空兎ちゃんは何故か激怒して、仙太くんは溜め息をついてしまいました。

「なにそれ!マジあり得ない!イジメカッコ悪!」

「いや、まぁ、そうだけどさ……とにかく、これをあの店長が戻ってくるまで何とかしなきゃいけないんですね」

 そういえば仙太くんは、店長さんの顔を知ってましたね。少し怖いですが、話がわかる善い人ですよ。

 って、あれ?

 仙太くん、なんで腕捲りしてるのですか?

「それじゃ、やりましょう。この際だから空兎も手伝えよ」

「もち!」

「頼むからふざけないでよ」

「アタシを誰だと思ってんの!」

 えっと………二人とも、手伝ってくれるんですか?
 僕がキョトンした顔をしていると、仙太くんは流し台の水道から水を出して手慣れた様子で皿を洗い始めながら、話してくれた。

「緋上さんのお陰で、僕も空兎も学校に連絡されることもなかったし……母さんに迷惑かけなくてすんだんです。だから、僕も感謝してるんです」

 仙太くんは、お母さんのことを大切にしてるんですね。

「……こんなこくらいしか出来ませんけど、手伝わせてください」

 ………熱くなりますね。
 胸が。

「ありがとうございます」

「それはこっちの台詞っ!」

 空兎ちゃんのその笑顔、眩しいですよ。

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