見えない誘惑
忘年会が終わり、みんながいなくなる。
それと同時に、私は水谷に近くのホテルに連れて行かれる。
部屋につくなり、言葉もないままでお互いの唇を貪り合っていた……。
「お前が誘惑したせいだ」
「えっ……?」
私のどこか誘惑したのかわからない。けれど、否定も肯定も出来なかった。
「今さら嫌だなんて言わないよな?」
水谷が私の唇を指先でなぞり、意地悪く微笑む。
もしかすると、私も彼に抱かれたいと思っていたのかもしれない。
――その証拠に、彼のキスを本能的に受け止めている自分がいた。