危険な後輩【TABOO】
 ベッドの上で爆睡している秀太を眺め、城岡くんに改めて礼を言う。


「重かったでしょ? 手伝ってくれて、ありがとう」


「じゃあ、ご褒美もらってもいいですか?」


「え?」


 いきなり城岡くんの腕が私の肩を掴み、強引に引き寄せられた。あっと思う間もなく、唇に押しつけられる暖かくて柔らかな感触。


 呼吸が、止まった。


 なにが起きたのか、一瞬わからなかった。


 ゆっくりと離れていく唇。かすかな吐息。


 すぐそこに秀太がいるのに。


 不覚にも、ドキドキしてしまった。


 なにしてるの、私。


 なにしてるの、城岡くん。


 間近から見つめてくる、彼の眼差しに吸い込まれそうになる。


 そっと、唇の前に立てられる人差し指。


「先輩には、言わないでくださいね。このことは、僕たち二人だけの秘密だから」


「…………」


 私は言葉なく、城岡くんを見つめた。


 この先、私たちの間で巻き起こる出来事に、この時はまだ気づいていなかった。



END

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