キミのとなり
2月上旬の朝。
家族で朝ご飯を食べてる時だった。
受験が終わってすぐだった。
自宅の電話が鳴って母さんが受話器を取った。
『そんな…。』
母さんが口をおさえながら腰が抜けたように床に座り込んだ。
『どうしたんだ?』
父さんが聞くと母さんは泣きだした。
『…ひかりちゃんが…死んだ…って…。』
その言葉を聞いた瞬間、俺の頭の中がフリーズした。
『…おい…ウソだろ…?』
信じられなかった。
昨日、電話で話したんだぞ?
アイツが『明日、会おうね。』って言ったんだぞ?
『…自殺…だって…。』
『自殺?は?アイツがするわけねえだろ?母さんだって知ってるだろ?アイツの性格。能天気でバカで誰よりもお人好しで…』
滅多に泣かない俺が泣いた。
落ち着いていられなかった。
俺は家を出た。
自転車でアイツの家に向かった。
アイツは自殺をするような奴じゃない。
何かの間違いに決まってる。
つい昨日、電話で話したばかりなんだぞ?
今日、会う約束までしたんだぞ?
そんなはずない。
信じたくなくて…受け入れたくなくて…
俺は高速で自転車で走った。
アイツの家の前に着いた瞬間、現実を叩きつけられた気がした。
ひかりの両親が警察に事情聴取されてる。
家の前に人ごみができてる。
警察の車が何台かあって、立入禁止のテープが家の壁に貼られている。
俺は自転車から降りると、その場で呆然と立ちつくしていた。