キミのとなり
ハンカチで頬を拭って手鏡をポケットから出す。
「…ひどい顔…。」
手鏡に映った私の顔はもう妖怪並だった。
トイレの個室を出て水道で顔をじゃぶじゃぶ洗って鏡を見る。
ほんと…可愛くない…。
もし私が女優さんのようにキレイだったらさっきみたいにフラれなかったのかな…。
なぜかわからない押し寄せてくる後悔の波。
ま、フラれても仕方ないよね…。
こんなブスに告白されたら気分悪いよね…。
断りたくもなるよね…。
ごめんね…
羅斗くん…。
「さ、行こう!」
化粧もせずにトイレから出ようとしてドアノブを回そうとした瞬間、誰かが先にドアノブを回した。
ドアが開いた瞬間、また涙が溢れた。
「美緒~~~!!」
「萌~~~!!!だから言ったじゃない!あいつはやめとけって~。」
美緒が優しく私を包み込んでくれる。
涙が溢れて止まらない。
「どうするの?神崎のこと、まだ好き?」
「…ぅん…。」
「はぁ?!フラれたのにぃ!?」
「うん…。だから私…明日また羅斗くんに告白する!!」