君の字 <<==短編==>>
「那緒ッ!」


 二階の廊下で、那緒を見つけた。


 那緒はびっくりした顔で俺を見た。







 やっと会えた。

 やっと俺を見てくれた。





「どうして…ッ」


 なのに、那緒は泣きそうな顔をして、俺に「どうして」と聞いてくる。

 なんと言っていいのかわからなくて、俺は那緒のところへ行こうとした。






「来ないで…!」

「那緒!?」




 はっきりと聞こえる、那緒の声。














 どうして俺を拒絶するの…?
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