双子の姉妹の マキとマイ
響夏がそう言った瞬間、私は扉を開ける。


少し肌寒くて、でも焼けちゃいそうなくらい、暑かった。


私は何も言わない。


言わなくちゃいけないのに。


響夏はそんな私に言った。


「マイにも言わずに勝手に帰るんだろう?俺の気持ちを知ってるくせに、お前は帰るんだろう?」


響夏が私のことを「マキ」と呼ばずに「お前」と呼ぶ。


いつもみたいに笑わずに無表情で話す。


いつもみたいに優しくなくて、少し荒っぽい喋り方。


もうこんな響夏に会えないんだと思うと、必死に我慢してた涙がこぼれる。


私は響夏にばれたくなくて、クルッと後ろを向く。


扉は開いていて、不安定にゴンドラがゆれる。


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