双子の姉妹の マキとマイ
俺は泣きじゃくるマキの両手を衝動的に掴んだ。


マキはビックリしたように俺の顔を見つめる。


俺だって今言いたいことはたくさんある。


今正体を明かして、マキに戻って来てもらえるように説得する自信だってある。


でも、あえてそれは言わないでおく。


今しかマキは変われない。


これだけ自分の言動と行動に後悔している、今しかマキが自分自身を変えるチャンスはない。


俺はマキに変わってほしい。


人のことよりも、もっと自分自身の幸せを考えられるように…。


俺は優しく微笑んだ。


メイクで顔なんて変わってるし、髪の色も身長も声も違うけど。


マキが好きだって言ってくれた笑顔になるよう、優しく微笑んで言った。


「会えないことはないんです」


「え?」


そう、会えないことは絶対にないんだ。



現に今こうして、俺はマキに会いに来てる。


難しくなんてない。


俺はビックリしたままのマキの両手を掴んだまま続ける。


「少し自分の欲望に忠実になれば、会うことなんて簡単なんです。人の幸せよりも自分の幸せを考えればいいんです」


マキはきっとマイのことを考えている。


マキがわがままを言えば、双子のマイにだって王位継承の話は回ってくる。


優しすぎなんだマキは。


マイのことなんて考えなければいい。


マキがこれだけ辛いように、マイにだって辛い思いをさせればいい。


今までマキがマイのために我慢してきて辛かったことを、きっとマイは知らない。


だから少し困らせてやればいい。
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