双子の姉妹の マキとマイ
「………」


私はすっかり忘れていた。



響夏はただの優しい男の子じゃないってことを。


根本が自分と自分の好きなもの以外興味がなくてどうでもよくて、利益にならないことが大っ嫌いで、腹黒ドSな性格。


ここ最近は、マキ姉大好きオーラしか出てなくて、響夏の性格を忘れてしまっていた。



その場にいた全員が、響夏を見つめたまま無言で固まる。



そんな私たちをよそに、響夏はクスクスと楽しそうに笑いながら続ける。


「素直にならなきゃ連れて帰ってあげません。でも、マキは俺のこと大好きだからなぁ。……大丈夫でしょ!」


…何かこの人、無駄な自信がついてパワーアップしてるよ!?


ついさっきまで、こんなんじゃなかったよね!?


私と円香ちゃんが固まったままでいると、宙がジーッと響夏を見ながら言った。


「お前。さては女装を利用して、マキ姉さんからお前のこと好きってこと聞き出しただろ」



「えぇ!?!?」


私は大きな声を出して、響夏を見る。



響夏は私とバッチリ視線を合わせると、ニコッと微笑んだ。



さ……最低!!!



なにそれなにそれ!!!







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