双子の姉妹の マキとマイ
私はバスのドアぎわに立っている。
そしてその横のイスに、宙は座っている。
私は遠くを見ながら言った。
「ねぇ。普通は逆なんじゃない」
「マキ姉さん。俺、相談があるんだよ」
!!
こいつ、話をスルーしやがった……。
でも、まぁ。
そんなことだとは、思ったわ。
私はチラッと宙を見ながら言った。
「それって、マイのこと?」
「あぁ。よくわかったな」
そりゃあ、見てれば、ね。
私には、ちょっかいかけないけど、マイにはかけるもの。
それって、ただたんに興味があるってことでしょ?
「あいつ、面白いな」
「私の、オモチャだもん。面白いわよ?」
ククッと笑って、宙は言った。
「そっか。登校のときだけ、俺の雑談に付き合ってくれないか?」
「仕方ないわね。いいわよ」
そう返事するのと同じタイミングで、宙のとなりの席があいた。
私は、そこに静かに座った。
そこからは、私たちは一言も会話をしなかった。