ねぇ、これって罪?
罪な女。
「おう、三崎。飲んでるか?」
そう言ってあたしの隣に座る同僚の山中。
……コイツとはたしか、部署が違うはず。
「……ええ、それなりに」
なのになんでいるのかしら?
ていいか、馴れ馴れしくない?
「なあ、三崎」
あたしを見つめてあたしの手を握ってくる山中。
「……なによ」
―――その目、完全にあたしを誘ってるわね。
見ればわかるわよ。
「お前、彼氏いるんだろ?」
「ええ、いるわよ。それがなにか?」
「いや。お前と付き合える男が、羨ましいなと思ってさ」
「……羨ましい?」
「ああ。お前みたいないい女、なかなかいないからな」
「……あら、それってあたしのこと誘ってるの?」
「―――って言ったら、どうする?」
そう言って怪しくニヤリと微笑む山中。
―――今日は会社の同僚たちと小さな飲み会。
たしかに山中も同僚だから、いてもおかしくはない。
でもなぜよりによって、あたしなのかしら?
あたしよりいい女なんて、ほかにたくさんいるじゃない。
―――それなのになぜ、あたしなのかしら。
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