哀しい偶然
~遅すぎた恋~
「紹介するよ、花蓮(カレン)。
コレ…俺の双子の弟の龍之介」
会社での飲み会で訪れた
少し雰囲気のいいワインバーで
1週間前から私の彼氏になった石田虎太郎(イシダコタロウ)に、目の前にいるソムリエを紹介されて……私は思わず言葉をなくした。
薄茶のサラサラの髪
少し長めのその髪を後ろで小さく縛って
驚くほど整ったその涼しげな顔立ちに……
私はとても見覚えがあったからだ。
恋人の双子の弟、石田龍之介とは……
表参道のど真ん中で出会った。
冷たい風の吹く
真冬の正午過ぎ
クライアントとの約束の時間に遅刻しそうだった私が、必死に歩道をピンヒールで走っていると…
「きゃぁっ!!」
ヒールがマンホールのくぼみにピッタリとハマってしまい…、私は表参道の真ん中で、すっ転んでしまった。
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