哀しい偶然
「いったぁ……。」
思わぬコケ方をしたせいで、
膝小僧からは派手に流血
ストッキングはビリビリに破れてしまっていて、受け身を取った手のひらからも軽く血がにじんでしまっている。
――痛いよぅ…
そんな風にか弱い女の子が困っているというのに、クールな東京人は“大丈夫??”の一言すらかけてくれない。
見て見ぬふりをして
私なんていないものとして
まるで空気でも見るような無関心さで、私の隣をスイスイと行きかい始める。
――もう、やだ。泣きそう……
いたたまれなくて
やるせなくて
寂しくて悲しくて、泣きそうになりながら散らばった資料を集めていると
「大丈夫か?」
そう言って
空気じゃなく、私を人として助けてくれたのが…カレ、石田龍之介だった。