哀しい偶然


逃げるように
その場を後にして
奥まった女子トイレの扉の前で


「なんで…、なんで再会しちゃうのよ…!!」


壁に手を当てたまま
ヘナヘナとその場にしゃがみ込むと




「それって…期待してもいいってこと??」




私の背中の向こうから、虎太郎によく似た龍之介の声が聞こえる。





そしてドキドキしっぱなしの心臓に向かって
彼はこんな爆弾を投げつける。




「俺…ずっとアンタのコト気になってたんだよね。アンタのコト…虎太郎から奪ってもイイ??」







私たちの恋は


きっと


全てが遅すぎた





傷つけずに

幸せに始まる恋には





きっとできない――……





【Fin】
< 6 / 7 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop