哀しい偶然
逃げるように
その場を後にして
奥まった女子トイレの扉の前で
「なんで…、なんで再会しちゃうのよ…!!」
壁に手を当てたまま
ヘナヘナとその場にしゃがみ込むと
「それって…期待してもいいってこと??」
私の背中の向こうから、虎太郎によく似た龍之介の声が聞こえる。
そしてドキドキしっぱなしの心臓に向かって
彼はこんな爆弾を投げつける。
「俺…ずっとアンタのコト気になってたんだよね。アンタのコト…虎太郎から奪ってもイイ??」
私たちの恋は
きっと
全てが遅すぎた
傷つけずに
幸せに始まる恋には
きっとできない――……
【Fin】