十八番-トバチ-

剣交

「ほら、あそこよ・・・」


「駄目よ、指をさしたりしたら
祟りが降りかかるわ・・」



「・・」

(祟り・・・)



待ちゆく人皆、指をさしては建物を見ていた。


並町は、4つあるシドゥ村の市街でも
中町に次ぐくらい栄えている場所。
花火大会もこの町にある大きな広場で行われている。


中町に比べお店は少ないけれど、
昔ながらの家々が立ち並ぶ住宅街にも近いものがあった。


しかし貧富の差が大きいため、治安もあまりよくない。
だから、こうして獄が建てられた。




(この中に、あの人がいるのかな・・)



でも、どんな人なんだろう。



普通極悪人は死罪になるのに、ならなかった?
都から運ばれてくるほどの・・・。



(ハナビならきっと、駄目っていうだろうけど)




それでもこの気持ちは抑えられない。




危険なのはわかってる。
怖くて仕方ない。



だけど、今日あの人籠を見かけてから。




どうしてか、胸がどきどきしている。




それが好奇心からなのか恐怖からなのかはわからないけれど。




良い意味でも悪い意味でも、胸騒ぎがする。





ひゅっ、と息を吸って、僕は吐いた。




「・・あの、すみません。
中を見学させてもらえませんか?」



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