十八番-トバチ-
着替えを終えあたりを見まわしてみても、
いまだバタバタと人の足音は絶えることがない。
入り口を見てみれば先の話の通り、煙とともに大きな穴の開いた壁が見えた。



暫く見ていたが飽きないのか、などと考えながら
じっと彼を見やれば、ふと呟く。








「"十六夜の剣"・・・。
本当にあると思いますか」

「なかったら大損だな。
こんな辺鄙な街まで来て。おまえは変装までさせられて」

「妖の宿るといわれる剣だそうですね」

「あぁ、そうらしいな。
いわれが憑きすぎて、どれが本当なのか解らなくなってる」


希にも怪にもなりえる幻の剣だ。


「・・」

「案外、この騒動もそいつが引き起こしたんじゃないのか?」






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