十八番-トバチ-
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暗い夜空だった。
夜空を照らす金色の輝きは薄れ、陰っている。
・・まるでその身に、呪いを受けたかのように。
その暗い三日月の下。
空とは対照的にまるで光を吸い取ったかの如く
美しき輝きを放つ剣。
何かを封印するかのごとく納められたその剣からは
微かだが妖気が漏れている。
【・・時ハ満チタ。
我ガ力、100年ノ眠リカラ解キ放タレル時ガ・・・!】
その妖気はだんだんと形を成し。
ついに一つの大きな蜘蛛となった。
蜘蛛は一度大きな声を上げたかと思うと、
どこへともなく消え去った。
後に残されたのは、意味をなさなくなったにも関わらず
納められた剣。
光は、いまだそれを包み込むかのように絶えない。
空に浮かんだ暗い月の光とも相まって、
ただその祠にはその輝きだけが放たれている。
・・その剣は、『観月(ミヅキ)』と呼ばれていた。