TABOO



彼へ掛けた携帯電話を
凍える手で耳元に添え



鳴り続くコール音と
降り出した雨音が
重なり合う



俯いた前髪から
雨の雫が冷たく頬に
滴り落ち



しばらくして
コール音さえ消え
雨音も傘を弾く音に
変わっていた



差し出された傘に
振り返れない私が居る



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