※ただし、あたしは大嫌い。
放課後。
今週は教室の掃除当番。
大きなゴミ袋を持って廊下を歩いていると
「おい」
…この偉そうな声は。
「何?」
「ゴミ袋似合うな」
「全く嬉しくないんですけど」
ホント失礼な奴。
「暇で暇でしょーがねぇから、しょーーがなく手伝ってやるよ」
しょーがなく、を物凄く強調して若宮がヒョイッとあたしの右手からゴミ袋を奪う。
…若宮は
時々、優しい。
こともある。
「言っとくけど金は貸さない」
「金目当てじゃねーよ見損なうな」
「ふーん?」
「…ま、何の目的もなく人に親切にするほどお人好しでもないけどな」
何て奴だ。
「目的は何?」
「……デート」
「は?」
「今度の日曜、俺とデートしろ」
若宮があたしからもう一つのゴミ袋も奪って、ゴミ置き場に放り投げた。