※ただし、あたしは大嫌い。
花火の会場に戻ると、どうしてだかアイツの姿が見当たらない。
どこ行ったんだよ―――
「篠崎!」
山田に風避けをさせて花火に火をつけている篠崎に慌てて走り寄った。
「は、若宮?どうしたの?」
「アイツ――如月は?」
「笑佳ならジュース買い行くって宿舎の方行ったけど」
「わかった、サンキュ!」
確か入口のあたりに自動販売機があったよな。
今来たばかりの道を駆け戻る。
でも、自動販売機にアイツの姿はなくて。
いねぇじゃん、どこほっつき歩いてんだよ―――
すれ違わなかったし、たぶん花火の所には戻ってねぇよな?
まさか迷子?―――アイツだったら十分にあり得るな。
ケータイを取り出してアイツの番号を呼び出す。
呼び出し音は鳴るものの、一向に出る気配はない。
くそっ何してんだよ。
ケータイを耳に当てたまま、アイツを探していると
プルルルル……
宿舎の角の向こうから、微かにケータイのなる音が聞こえてきた。
「っきさら」
慌てて角を曲がると
「…っ」
佐倉に抱き締められてる
アイツがいた。