※ただし、あたしは大嫌い。
「……笑佳ちゃん?」
ビクッと肩を震わせて振り向くと、佐倉くんがあたしに向かってゆっくり歩いてくる所だった。
「……泣いてるの?」
「…な、泣いてないよ」
「そっか」
あたしのすぐ目の前で立ち止まった佐倉くんは、ふ、と優しげに微笑むと
「そんな顔で言われても説得力ないよ」
「え…」
次の瞬間、フワリとあたしを抱き留めていた。
「…さ、佐倉くん…!?」
「…慰めてあげるって、言ったじゃん…」
いつの間にか、ケータイの着信音は鳴りやんでいて。
まだ少しだけ冷たい風が、あたしの頬を撫でていった。