※ただし、あたしは大嫌い。
「えっみかちゃーん♪」
「…さ、佐倉くん…」
帰る為に昇降口に向かっていると、後ろからポン、と肩を叩かれた。
振り向くと前髪をピンクのゴムで結んだ佐倉くんが。
「今帰り?♪」
「あー、うん…」
佐倉くんは何も意識してないとは思うけど。
さすがに、あんなことがあったら
…普通にしてろっていう方が無理だと思う。
「……もしかして意識してる?」
「…え」
「ハグしちゃったコト♪♪」
まるで何でもないことのようにニコニコしながら言う佐倉くんの口を慌てて塞いだ。
「ちょっ声デカいから!」
普通に周りに人たくさんいるから!
「ははっ」
佐倉くんはそんなあたしを見ておかしそうに笑うと
「そんな慌てなくてもダイジョーブだよ♪
別に愛の抱擁とかじゃないからサ~♪」
「それは知ってるけど」
――あの後。
佐倉くんは抱き締めていたあたしをはなすと、ニコッと笑って『ジュース奢ってあげるよ♪』と本当にジュースを奢ってくれた。
まぁ既にコーラ買った後だったんだけどね。
「…その節は…ありがとうございました」
「いえいえ♪って、アレ?」
ふ、と足を止めた佐倉くんにつられて足を止めると。
「…あ」
ちょうど目の前から、若宮と琴平さんが歩いてきた。