※ただし、あたしは大嫌い。





「…え?」





佐倉くんが?





「…ずっと幼なじみのことが好きだった。

でも、俺は意地ばっか張ってて、全然素直になれなくて。
中3になってすぐ、突然、親の仕事の関係でその子は海外に行っちゃった」




はぁ、というため息とともに、佐倉くんは壁に寄りかかって。






「…あの時はめちゃくちゃ後悔したなぁ」





佐倉くん…






「だから。



自分のためにも、想いは伝えろっつってんの」




「…でも」





「あぁー!もう」





佐倉くんはポンッとあたしの頭に手をのせると





「追いかけなかったら、遠くに行っちゃうだけなんだから。


…ほんとに欲しいものは追いかけなくちゃ」







じゃ、また明日ネ~♪




ヒラヒラと背中を向けたまま手を振って去っていく佐倉くん。







…ほんとに欲しいもの……




それが例え





絶対に手に入らないものだとしても?








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