※ただし、あたしは大嫌い。
ダンッダンッ
ボールをドリブルする音が、体育館の中で軽快に響いている。
体育の時間。
種目は変わらずバスケットボール。
男子コートの方ではちょうど若宮が出場していて。
「ナイッシュー若宮!」
「おー」
シュートを決めまくっていた。
…あいつバスケットも得意なんかーい。
ほんとに嫌味な奴だな。
「…か、笑佳?」
「え?」
気付いたら隣にいた彩に呼ばれてた。
「ごめん、何?」
「…ったく。若宮ばっかり見てるんだから」
「っ!そんなこと…」
…あるかも…
「ほら、次あたしたち試合だから行くよ!」
「あ、うん」
彩に促され立ち上がる。
「悠がんばってー!」
「悠ー!!」
自分たちの試合そっちのけで若宮を応援する女子たちの中には
「悠ファイトー!!」
もちろん、琴平さんの姿もあって。
「………」
…よし!
とりあえず今は自分の試合に集ちゅ「如月っ…!!!」
「…え…」
若宮の声!?
思わずバッと振り向いたと同時に
あたしの顔面にバスケットボールが命中した。
「っ笑佳!?」
彩の慌てた声がどこか遠くから聞こえる。
…あぁ…鼻血…出てるかも…