※ただし、あたしは大嫌い。
「ちょ、わかみ…っ」
角度を変えて何度も何度もキスされる。
名前を呼ぶ間も与えないくらい立て続けにふってくるキスは、徐々に深さを増していって。
「……っ」
…こんなキス知らない。
―――こんな、体中溶けてしまいそうになるキスなんて。
「……如月」
ようやく唇をはなした若宮が、あたしの表情を覗き込むように見つめてあたしの名前を呼んだ。
「きさら「お疲れさまでした!!!じゃっ!!!!」
ドンッと若宮を思いきり突き飛ばしてダッシュで教室を出る。
「っおい如月!?」
焦ったような若宮の声に振り向いている余裕なんてない。
何だあのキス。
もしかしてあれがよく彩が言ってる
大人のキス、ってやつなの?
(…うわ!何これ超恥ずかしい!!!」
今までにないくらい最速で走るあたしは、カバンを忘れたことにも気づかずに。
さっきのキスの感触だけがリアルに頭の中をまわってた。