※ただし、あたしは大嫌い。






“釣り合ってない”






ズン、と胸の一番深い所を抉られたような気がした。







「悠も何であんな普通の子選んだんだろ?」




「教室でも堂々とイチャつきすぎだし。

もっと自分が悠に相応しくないってこと自覚しろって感じだよねー」






その後もずっと会話は続いていたけど、気付いたら踵を返して廊下を早足で歩いていた。








“普通の子”



“相応しくない”







自分が全然美人じゃないし、どこをとっても平凡で、特別な人間じゃないってことは十分自覚してる。




でも、若宮に釣り合ってないとか、相応しくないとか、そういう風に考えたことはなかった。




というかそんな風に周りがあたし達のことを見ているなんて考えたこともなかった。







でも、言われてみればそれは当たり前のことで。






若宮はイケメンで成績優秀、運動神経だっていい。




当然とてつもなくモテる。





そんな若宮の隣に、あたしなんて人間が



並ぶ資格なんてないんじゃないの?







…脅迫状を送ってきた、Sだけじゃない。水城さんや林さんだけでもない。





きっと皆、若宮にあたしは釣り合わないって、思ってる――――







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